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2026.03.18

【SW AI Seminar】「AIがコードを書く時代」にエンジニアはどう生きるか。個人開発から見えた、クラウドネイティブの新たな地平

「AIが書いたコードが本当に正しいのか、確認する方が時間がかかる」

生成AIを業務に取り入れ始めたエンジニアなら、一度はこんなジレンマを抱えたことがあるのではないでしょうか。

毎週水曜日に開催されているAIソリューションユニットの社内セミナー。先日開催されたセッションでは、入社3年目のエンジニア・鎌田が登壇し、『AIエージェントとクラウドネイティブ開発に挑戦した話』というテーマで熱いLT(ライトニングトーク)を繰り広げました 。

AIに「作業」を丸投げするのではなく、AIと「協働」するために人間が握るべき手綱とは何か。エンジニアの役割はどう進化していくのか。その実践的なノウハウと未来への考察を凝縮してお届けします。

1. 制約が生む創意工夫。コスト最適化を極めたサーバーレス開発

今回の開発の出発点は、「好きなロックバンドの新着ニュースを自動でメール通知してほしい」という、個人的なモチベーションでした。

システムはAWSを用いたサーバーレス構成(EventBridge、Lambda、DynamoDB、Amazon SNS)で構築されています。ここで鎌田が自らに課したテーマが、「AWSの無料枠をフル活用し、コスト最適化を極限まで追求する」ことでした。 有料のAIツールには頼らず、あえて無料枠のAIエージェントを活用。IaC(AWS SAM)やCI/CD(GitHub Actions)、ローカル検証用のLocalStackも導入し、個人開発でありながら本格的なクラウドネイティブのベストプラクティスを実践しています。

驚くべきはその開発スピードです。1日2〜3時間の作業を数日行い、微調整を含めても約1週間で完成に至りました。その秘訣は、AIコーディングエージェントの徹底活用にあります。鎌田は「コードは自分でほぼ書いておらず、AIに指示を出して待っているだけだった」と語ります。

2. AIと協働する極意:人間は「仕様」と「コンテキスト」を握る

AIに思い通りに動いてもらうためには、人間とAIの明確な「役割分担」が不可欠です。AIはプロンプト(指示)という限られた情報しか持たないため、人間側と「見えているもの」に差があると、良質なアウトプットを出せなくなります。

  • ・テキストベースでのコンテキスト共有: 常にドキュメントや成果物をテキストベースで管理し、AIと同じ視界を共有することが重要です。
  • ・仕様のチューニング: 開発初期は大まかな仕様書(Markdownなど)から始め、実装中に生じた課題(例:ニュースIDの並び順の不具合など)に合わせて、人間が仕様書を詳細にアップデートしていきます。

「人間が仕様をしっかりと握り、AIがコードを書く」。このサイクルを高速で回すことが、AIエージェント時代の開発の鍵となります。

3. 「ハーネス」の設計:AIに自由を与えすぎない技術

AIエージェントは非常に強力ですが、無邪気に「何でもやって」と指示すると、どこがゴールか分からず迷走してしまいます。そこで必要になるのが、AIに対する安全装置、すなわち「ハーネス」の設計です。

  • ・ガードレールの設置: AIが作業する範囲を限定し、コーディングルールや使用してよいコマンドをあらかじめ定義して与えます。
  • ・メモリ(コンテキスト)の効率的な管理: AIのコンテキスト(一時メモリ)は有限です。重たい処理はメインセッションを消費しない「サブエージェント」に委譲し、ルール系の軽い処理は「スキル」として活用するなど、アーキテクチャへの理解に基づいた使い分けがパフォーマンスを左右します。

4. 日々のインプットが「抽象化思考」を育てる

業務外でこのような技術的探求に挑む背景には、エンジニアとしての確かな「スキルアップ戦略」があります。

AIがコードを書くようになると、「AIが書いたコードを人間が読んで正しさを確認する」という、従来のレビューに頼った品質保証からは脱却しなければなりません。鎌田はこれを、「レイヤーが一つ上がる進化の過程」と捉えています。 かつてエンジニアが低レイヤーの言語から高級言語へと移行したように、これからは「AI」という層を前提とし、より高度に抽象化されたレイヤーで設計や品質保証を行う思考が求められます。

鎌田自身、日々の情報収集においてAIを「壁打ち相手」として積極的に活用しています。技術の強みや弱み、技術選定の判断軸などをAIと議論し、さらに社内のシニアエンジニアの設計判断プロセスを意識的に観察・吸収することで、自らの技術の引き出しをアップデートし続けているのです。

5. 「汎用レイヤー」と「MCP」を駆使した、あらゆる業務のエージェント化

AIエージェントの活躍の場は、コーディングだけに留まりません。鎌田はシステム開発以外の業務においても、タスクの性質を見極めてAIを活用しています。

例えば、今回のセミナーのスライド作成。これは「スライドデザイン」という業務を、AIが得意なテキスト処理(汎用レイヤー)に落とし込み、Markdownベースのツール(Marp)を用いて生成させたものです。音声入力で構成案を起こし、AIと対話しながらブラッシュアップしていく手法をとっています。

一方で、スライド内に登場した「システム構成図」は、MCP(Model Context Protocol)を利用し、外部ツールのdraw.ioとAIエージェントを連携させて描画したものです。

このように、業務をAIネイティブな形に変換して処理させる部分と、MCPを使って外部SaaSを直接操作させる部分を戦略的に使い分けることで、あらゆる業務の自動化・半自動化への道筋が見えてきます。

編集後記

「AIにコードを書かせる」という一見シンプルなテーマの裏には、プライベートな時間を使ってでも新しい技術を試し、「制約の中でどこまでできるか」を探求するエンジニアの熱いプロフェッショナリズムがありました。そこから見えてきたのは、コンテキストの緻密な管理や、エンジニア自身の抽象化思考へのシフトという、これからの開発現場に直結する深いテーマです。

当社には、このように最先端の技術を自ら積極的に触り、深く考察し、その知見を社内に還元していくカルチャーが根付いています。この「技術の波を自ら乗りこなす」環境で、共に成長し、未来のソリューションを創りませんか? 少しでも興味を持たれた方は、ぜひ採用ページからエントリーをお待ちしております。

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