全国500店舗で稼働する薬局支援システムに挑んだ、若手エンジニアたちの記録
「どんなに技術を学んでも、それが“誰かの役に立つ瞬間”に出会わなければ、ただの自己満足で終わってしまうのかもしれない。」
これは、ある若手エンジニアがプロジェクト終盤、ふと漏らした言葉です。
今回ご紹介するのは、薬局向け業務支援システムの開発・運用を担うプロジェクトで、若手エンジニアたちが実際に体験した学びと成長の記録。配属当初は不安を抱えていた彼らが、どのように困難を乗り越え、どんな風に視野を広げていったのか――。
日々の開発現場のリアルを、少し深く掘り下げてみたいと思います。
薬局の「日常」を支える、システムの舞台裏へ
このプロジェクトが支えるのは、全国で500以上の薬局に導入されている業務支援システム。処方箋の受付、患者とのオンライン服薬指導、コンテンツの自動印刷など、多くの機能が複雑に連携しています。
技術スタックは、PythonやTypeScript(React)、Node.js、AWSといったモダンな技術群。さらに、LINEミニアプリのフロントエンド実装もあり、クラウド・フロント・バックエンドを横断する開発が求められます。
新しくプロジェクトに参画した若手エンジニアたちは、まず既存のシステム仕様の把握からスタート。想像以上に多機能かつ複雑な構成に驚きつつも、経験豊富な先輩たちに支えられながら、徐々に開発の一端を担っていきました。
コミュニケーションも開発スキルのひとつ
このプロジェクトの特長は、完全フルリモートでの勤務体制。SlackやBacklogを中心とした非同期コミュニケーションが基本となり、対面でのやりとりが一切ない中で、信頼関係を築いていく必要がありました。
「聞くタイミングを間違えたら、相手の手を止めてしまう」
「進捗が“見える”報告にしないと、相手に伝わらない」
そうした気づきの積み重ねが、エンジニアとしての“仕事力”を磨いていくことに繋がりました。
日々の朝会や定例ミーティングでの発信内容、タスクの見積もり、開発の途中経過の共有の仕方――。コードを書くことと同じくらい、「伝える力」が重要であることを、若手たちは自然と学んでいきました。
開発現場で得た「仕様の裏にある現場感覚」
今回、若手チームが特に印象的だったのが、ある機能リプレイス時の経験。
それは「コンテンツ自動印刷」機能の刷新作業でした。
処方箋の内容や服薬履歴に応じて、自動的に患者向けの注意情報や説明資料を印刷するこの機能。表面的には技術的な条件分岐の実装に見えますが、実際には膨大なシナリオと例外条件が絡み合っており、その背後には薬剤師の現場業務や患者との応対事情が深く関係していました。
テスト中には、一部の出力が意図と異なるケースが検出されることも。
しかしその原因は、過去のデータ仕様や他システムとの連携制限など、開発サイドだけでは制御しきれない複合要因に起因するものでした。
こうした場面で大切になったのは、「単に直す」のではなく、「なぜそれが発生したのか」「誰にどんな影響があるのか」をチーム全体で検証・対話しながら進める姿勢でした。
若手が育つのは「頼られた」瞬間だった
プロジェクト後半には、AWS環境へのDB移行やCI/CDの自動化改善、新機能実装の検討にも着手。若手エンジニアも仕様検討から実装、テストまでを任されるようになっていきました。
とある週次会議では、ある若手の説明に対して、クライアント側のマネージャーが「それ、現場が喜びそうですね」とコメントを返す場面もありました。
“お客さまの役に立つ実装ができた”という手応え。
その瞬間こそが、メンバーたちの成長を最も象徴する出来事だったかもしれません。
「チームでつくる」を体感したプロジェクト
経験年数にかかわらず、アイデアや実装への責任を持ち、先輩と対等に意見を交わす。レビューでは、ミスを恐れず改善を重ねる。その積み重ねが、「チームで開発する」意識を育てていきました。
「技術って、独りで頑張っても限界がある。チームの中でやってるからこそ、壁も乗り越えられるんですよね」
そう語る声に、彼らが過ごした日々の濃さがにじみ出ていました。
キャリアのヒントは、他者の成長の中にある
このプロジェクトの経験は、コードを書く技術だけでなく、
「仕事の進め方」「コミュニケーション力」「お客さま視点」など、
総合的なエンジニア力を高める場になりました。
他部署の仕事を知ることで、自分の仕事を見つめ直すきっかけが生まれるかもしれません。
誰かの成長が、自分の未来へのヒントになることもあるのです。
「成長したい」と思える人へ、私たちが用意していること
私たちは、単に技術が学べるだけでなく、
「実践を通して成長できる環境づくり」に本気で取り組んでいます。
開発に挑戦する若手たちの姿は、その象徴でもあります。
自ら学び、動き、そして仲間とともに壁を越えていく――
そんな姿勢に、あなたも共感してもらえたなら、私たちはきっと良い仲間になれるはずです。
(このコラムは、当社で実際に活躍する若手エンジニアたちの声をもとに構成しています)