「最初は、何を見ればいいのかさえ分からなかったんです」
そう語るのは、ある若手エンジニア。彼が所属するチームは、製造工程などで活用される画像処理ソフトウェアのテストに取り組んでいます。表面に傷や汚れがないか、印字された文字が正しく認識されているかといった目視による品質チェックを支援するソフトウェアで、私たちの生活に直接触れることは少ないけれど、製造業を陰から支える、まさに“縁の下の力持ち”的存在です。
今回紹介するのは、こうした製品のテスト業務に取り組む、若手エンジニアたちのリアルな挑戦と成長の記録です。
業務は「確認」ではなく「発見」の連続
プロジェクトは、数年にわたり継続している案件で、現在は複数名体制(現地とリモートの混在)で進行中。ソフトの新機能テストや修正確認に加えて、自動テストや負荷試験といった幅広い検証業務を通じて、製品の品質を支える役割を担っている。
仕様書をもとにマインドマップでテストケースを設計し、実行。機能を「触りながら覚える」スタイルのため、初めての若手エンジニアにとっては、キャッチアップに苦戦する場面もあります。
「仕様を読んでも、正直ピンと来なかった。でも、実際に触ってみると“ここってこういう動きするんだ!”と気づける。まるで謎解きのような感覚でした」
そう語るのは、配属後3か月目のエンジニア。テストとは単なるチェックリストではなく、製品の動きを読み解く“観察と仮説の連続”だと気づき、次第にその奥深さに魅了されていきました。
「この仕様、ちょっと変じゃないですか?」
配属から半年が経つ頃、ある若手メンバーが仕様の中に違和感を見つけました。
「この機能、こういう操作だと逆に誤動作するのでは?」――不具合として報告されたわけではないものの、彼の直感は正しかったのです。仕様に明記されていなかった条件での動作を試し、実際に問題が発覚しました。
このような“仕様外の気づき”こそ、テスト設計力の真価が問われる場面。関係者からも「よく気づいてくれました」と感謝の声をいただき、彼の報告はそのまま修正対象に。
「最初は“ここまで見るの?”と思っていた。でも今は、“こういうパターン、気づけるかも”と自分なりに工夫できるようになった」と彼は振り返ります。
自動化にも挑戦。負荷試験ツール導入の裏側
テスト業務といっても、単に人手で確認するだけではありません。連続稼働や負荷試験の際には、自動化ツールの活用も求められます。
チームでは、ある若手エンジニアがマクロツールの作成に初挑戦。現場の先輩のサポートを受けながら、実行フローを整理し、汎用的なスクリプト言語を用いて効率化を実現しました。
「リリース直前の網羅確認で、あのツールがなかったら間に合わなかった」と、プロジェクトリーダーも高く評価。作成者本人も、「自分の書いたコードが誰かの“助け”になるのが嬉しかった」と話します。
“仕様の複雑さ”という壁との向き合い方
このプロジェクトでは、明文化されていない仕様、過去のバージョンとの互換性、そして製品ごとに異なる条件設定など、構造的な複雑さが常に立ちはだかります。
「一つの変更で、別の機能に影響が出る。そこに気づけるかがプロの視点だと感じた」とあるエンジニア。複雑な背景に対し、“どうすれば再現できるか”“他に影響が出ていないか”を地道に調べる力が鍛えられたといいます。
これらの課題は、エンジニアの落ち度ではなく、ソフトウェア開発というものが本質的に持つ難しさ。それにどう立ち向かい、楽しめるかが、若手エンジニアの成長のカギになっています。
周囲と支え合う、リーダーへの一歩
プロジェクトが軌道に乗る中、一部の若手エンジニアにはリーダー業務も任されるようになってきました。進捗管理、メンバーへの声かけ、他社チームとの連携――いずれも初めての挑戦です。
「正直、“え、僕が?”と思いました。でも、先輩が“困ったらすぐ相談して”と言ってくれたので、思いきってやってみようと思えたんです」
現場では、SWメンバー以外のチームと連携する場面も多く、柔らかなコミュニケーション力が問われます。ときに誤解や認識のズレも起きますが、「わからないことはすぐ訊く」「メモに残して次に活かす」など、一歩ずつ信頼関係を築いてきました。
「今の自分なら、後輩にアドバイスできる」
そんな若手たちが、最近ふと漏らした言葉です。配属当初は手探りだったテスト設計も、今では「仕様の意図」を読み取る力がつき、他のメンバーに説明できるまでに成長。なかには「次は自分が教育係をやってみたい」と語る声も出てきています。
これからの目標は、さらにスムーズに、的確に周囲をサポートできる存在になること。そのためには、製品理解を深めること、そして他者の状況に目を配る“視野の広さ”が必要だと、彼らは語ります。
最後に:読者へのメッセージ
テスト業務と聞くと、単調な作業を想像する方もいるかもしれません。
しかし実際には、仮説を立てて検証し、製品の精度や信頼性を支える創造的な仕事です。
小さな「気づき」が大きな品質改善につながる――そんなやりがいのある世界です。
本記事を読んでくださった若手エンジニアの皆さんへ。もし今、自分の仕事に悩んでいたり、成長の実感が持てなかったりするなら、他の誰かの挑戦からヒントを得てみてください。そして、「挑戦してみたい」「一歩踏み出してみよう」と思えたなら、それはすでに成長の始まりです。
私たちは、そうした成長の芽を大切に育てる仲間を、いつでも歓迎しています。