
あらすじ
入社2年目のユウタ。
今日の定例ミーティングで「はい、理解しました!」と返事をしたものの、後で仕様を読み返すと自分の理解と違う部分があることに気づく。「やっぱり間違ってた…?」と冷や汗が出る。
そんなユウタに、先輩がチャットで「認識をそろえる確認の技術があるよ」とアドバイスする――。
ユウタ
「先輩……やっちゃったかもしれません……」
先輩
「お、どうした? ちょっと慌ててるね。」
ユウタ
「今日のミーティングで“はい、分かりました”って答えたんですけど、後で資料を見直したら、自分の理解と違う点があって……。
これ、完全に僕の取り違えですよね?」
先輩
「うん、よくあることだよ。口頭だけだと、どうしても認識にズレは出るんだ。
でも大丈夫。ちょっとした“確認の型”を知っていれば、信頼を守りながら進められる。」
ユウタ
「確認の型……ですか? ただ“はい”って言ってしまっただけで……」
先輩
「今日は、現場で即使える『認識齟齬をなくす3つの確認メソッド』を教えるよ。
この型を覚えると、プロジェクトでのコミュニケーションがぐっとスムーズになるんだ。」
ユウタ
「わかりました! ぜひお願いします!」
メソッド①:パラフレーズ(言い換え)確認

「つまり、◯◯という理解で合っていますか?」
先輩
「まずは“パラフレーズ”。相手の言葉をそのまま受け取るんじゃなくて、自分の言葉に置き換えて確認する方法だ。」
ユウタ
「なるほど。でも、聞き返してる感じが強くなりませんか……?」
先輩
「大丈夫。お客さまは、“自分の理解をしっかり確認してくれているか”を気にしているんだ。
例えば今日の仕様だと――?」
ユウタ
「“一覧の並び順は動的に変わる”って言われました。でも資料では固定の並び順になっていて……。」
先輩
「こう返すといい。」
先輩
「『つまり今回の変更では、ユーザー操作に応じて並び順が変わる、という理解で合っていますか?』」
ユウタ
「あ、これなら自然に確認できそうです!」
先輩
「そう。ポイントは“相手の言葉をそのまま使わず、自分の理解をのせて返す”こと。
間違っていれば、その場で修正してもらえるから安心だよ。」
メソッド②:具体例での確認

「たとえば、このケースの場合はこの動作で正しいですか?」
ユウタ
「具体例で確認って、あまりやったことなくて……」
先輩
「現場では、システムや仕様の前提が複雑に絡むことが多いから、抽象的な話だけだと理解にズレが出やすい。
だから具体例で聞くと、瞬時に認識のズレが浮き彫りになるんだ。」
ユウタ
「たしかに……今日の説明でも、頭の中で勝手に別のイメージを作ってしまってました」
先輩
「そこでこういう感じ。」
先輩
「『たとえば、“更新日が新しい順”でソートした後に、新しいデータを追加した場合、即座に並び替えが発生するイメージでしょうか?』」
ユウタ
「わっ……すごく具体的で分かりやすいです!」
先輩
「具体例を出すと、お客さまの頭の中と自分の頭の中を簡単にすり合わせられるんだ。
現場で齟齬を防ぐ強力なテクニックだよ。」
メソッド③:議事録(テキスト)での再確認

MTG後すぐに、合意事項をテキストで残す。
+ 既存仕様や前提条件も一緒に確認すること。
ユウタ
「議事録は作った方がいいのはわかるんですけど、どうまとめればいいか迷います」
先輩
「形式は気にしなくて大丈夫。ポイントだけ丁寧に書けばOKだよ。例えば――」
先輩
「『本日の認識確認です。
・一覧はユーザー操作に応じて動的に並び替わる
・新規データ追加時は即時反映
※既存仕様上の制約(固定ソートロジック)は別途確認します』」
ユウタ
「最後の“既存仕様の制約”って、なるほど……現場でよくあるポイントですね!」
先輩
「そう。現場では“資料にはない前提条件”もよくあるから、それも確認しておくと安心だ。
議事録は単なる記録じゃなくて、信頼を作るツールだと思えばいいんだ。」
ユウタ
「なるほど……“議事録=信頼構築ツール”ですね!」
先輩
「ユウタ、今日の3メソッドを覚えれば、プロジェクトでの齟齬はぐっと減る。
確認は弱さじゃなくて、プロの仕事だよ。」
ユウタ
「はい! 今日の失敗も、次に活かせるヒントになりました。
次のミーティングでは、ちゃんと確認しながら進めます!」
先輩
「その意気だね。困ったらいつでも相談して。」
応用ヒント
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・パラフレーズは「主語・条件・結果」の3点をまとめるとズレが減る
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・具体例は“境界ケース”(ぎりぎりのケース)を混ぜるとさらに精度アップ
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・議事録は「5分以内」に送ると、レスポンスの速さも評価される
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・現場では“資料より運用が優先されるケース”もあるため、運用前提も確認する
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・ミーティング前に“質問テンプレート”を作っておくと落ち着いて確認できる