
あらすじ
「これ、明日までにお願いできる?」
急な仕様変更と無茶な納期。思わず「が、頑張ります…」と言ってしまったユウタ。
席に戻った途端、「どうしよう…!」と胸が苦しくなる。
そんな様子に気づいた先輩が、「一人で抱え込んだら損だぞ」と声をかける。
“断らずに、でも無理はしない”――現場で使えるプロの調整術とは?
ユウタ
「せ、先輩…。ちょっといいですか……。さっきAさんに“明日までに仕様変更いける?”って言われて…気づいたら “はい、多分…!”って答えてしまって……。
でもどう考えても間に合わなくて…。今さら無理って言うのも怖くて…」
先輩
「なるほど。典型的な“若手が最初にぶつかる壁”だな。
ユウタ、まずひとつ言っておくと――無理な依頼に対処するのは“断る技術”じゃなくて“調整する技術”なんだよ」
ユウタ
「調整する技術…ですか?」
先輩
「そう。今日は“角を立てずに現実的な落とし所をつくる3つのメソッド”を教えるよ。
これができると、仕事のストレスが一気になくなるぞ」
メソッド①:「Yes, if…」条件付き受諾で“現実的なYes”を返す

先輩
「『はい、明日までにやります』って言い切ると自分が潰れる。
でも『無理です』は相手が困る。
そこで使えるのが “Yes, if…”(条件付きYes) だ。」
ユウタ
「あ、“もし○○してもらえれば可能です”ってやつですか?」
先輩
「そうそう。例えば今回なら――
『はい、もしすでに進めているBタスクの納期を後ろにずらせるなら対応できます』
みたいに、トレードオフを提示するんだ。」
ユウタ
「なるほど…! ただのYesでもNoでもない、“現実的なYes”なんですね」
先輩
「そう。しかもこれを言うと、相手も“あ、本当に負荷があるんだな”って理解してくれる。
もちろん、出した条件は必ず上司や関係者と合意を取るのを忘れずにな」
ユウタ
「たしかに…“なんとなく引き受けて爆死”が一番まずいですよね…」
先輩
「その通り。調整は“勇気あるYes”から始まるんだ」
メソッド②:影響範囲の可視化 ― 感情ではなく“事実”で伝える

ユウタ
「でも…“できません”って言うときって、相手を怒らせちゃいそうで怖いんですよね…」
先輩
「そこもテクニックがある。
ポイントは、主観じゃなく事実で話すことだ。」
ユウタ
「事実…?」
先輩
「例えば今回なら、
『明日までに対応すると、テスト時間が削られます。その結果、品質リスクがあります』
って淡々と伝える。
“無理です!”じゃなく、“影響範囲”を見せるイメージだ。」
ユウタ
「あ…それなら言いやすいかもしれないです。
感情じゃなくて、客観的な情報ですもんね」
先輩
「そう。相手も怒らないし、むしろ“どう調整しようか”って一緒に考えてくれる。
プロジェクトは“共同作業”だからな」
ユウタ
「なるほど…“怒らせない伝え方”ってこういうことか…!」
メソッド③:代替案の提示 ― 全部は無理でも“一部ならできる”を示す

先輩
「3つ目は“代替案を出す”こと。」
ユウタ
「代替案…?」
先輩
「“全部は無理ですが、最重要のA機能だけなら明日までに可能です”
っていうやつだ。
“ゼロ”じゃなくて “ここまではできる” を提示する。」
ユウタ
「それ、めちゃくちゃ実務的ですね…!
全部断るより、ずっと前向きに聞こえる…!」
先輩
「そう。落とし所をつくるのがプロの仕事。
代替案を出すと相手も助かるし、こちらも無理をしなくて済む。」
ユウタ
「なんか…今の3つのメソッドがあれば、無理な依頼も怖くない気がしてきました…!」
先輩
「ユウタは誠実だから、つい全部引き受けちゃうんだよな。
でも大丈夫。調整の技術も“スキル”だから、練習すれば絶対に上達するぞ」
ユウタ
「はい! 今度依頼が来たら、今日の3つを使ってみます!」
先輩
「よし、その調子。困ったら、またいつでも相談してな」
応用ヒント
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・相手が急いでいる理由を聞くと、優先度が正しく判断できる
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・依頼を受ける前に“着手条件”や“完了条件”を明確にしておくと誤解が減る
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・無理が続くときは、依頼内容を定量化(工数・WBS・リスク)して提示すると合意形成が早い
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・「できません」ではなく「このままではできません。こうすれば可能です」が最も信頼を得やすい
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・トレードオフや影響範囲は、日頃から簡易的にメモしておくと説明がスムーズになる