あらすじ
入社2年目のユウタ。ついに自分にも後輩ができた。張り切って教えようとするものの、うまく伝わらず、後輩はどこか不安そう。そんな様子を見かねた先輩が、「教える=説明+確認+フォローだよ」とアドバイス。ユウタは“伝わる教え方”を学んでいく。
ユウタ
「先輩〜、ちょっと相談いいですか? 後輩にタスクを教えてるんですけど、どうも伝わってない気がして……。説明したはずなのに、翌日になると“これどうやるんでしたっけ?”って聞かれるんです。」
先輩
「うんうん、その気持ち、よくわかるよ。最初のOJTって、自分が試されてる感じがするよね。でもね、“教える”って実は“伝える”よりも、“伝わるように設計する”ことなんだ。」
ユウタ
「伝わるように……設計、ですか? 設計って、なんかプロジェクトみたいですね。」
先輩
「その感覚、正解! 教え方にも“設計”があるんだ。今日は、“伝わる指導の3ステップ”を紹介しよう。これを意識するだけで、教えるのがグッとラクになるよ。」
① デモ+実践+フィードバックの三段構成
先輩
「まずは、“見せて→やらせて→振り返る”の三段構成。つまり、デモ → 実践 → フィードバックだね。」
ユウタ
「デモって、プレゼンみたいに見せるってことですよね?」
先輩
「そうそう。でも堅苦しく考えなくていい。たとえば『チケットの起票』を教えるなら、まず自分が一度やって見せる。それを画面共有しながら“ここを押すと通知が飛ぶよ”ってリアルタイムで解説する。」
ユウタ
「あ、それなら僕も自然にできそうです。」
先輩
「次に、後輩本人にやってもらう“実践”。そのときは、間違えても口を出しすぎず、後から“良かった点”と“改善点”を伝える。“あの手順はよかったね、ただ確認ログは残しておこう”みたいにね。」
ユウタ
「なるほど……褒めつつ改善点を伝えるんですね。僕、つい“ここ違うよ”って言っちゃうので、気をつけます。」
先輩
「うん、つい指摘しがちだけど、まず“できたこと”に光を当てるのがポイント。人は褒められると、次も頑張れるからね。」
② 相手の理解度チェック:質問やミニ課題で確認
ユウタ
「でも、説明したあとに“わかりました!”って言われると、どこまで理解してるのか分からないんですよね。」
先輩
「それもよくある。だから、理解度チェックをはさむんだ。たとえば“じゃあ今の流れを自分の言葉で説明してみて”とか、“似たケースならどうする?”って聞いてみる。」
ユウタ
「なるほど、答えを聞けば理解の深さがわかりますね。あとで自分も確認しやすい。」
先輩
「そう。『わかった?』って聞くより、“じゃあやってみよう”のほうが100倍効果的。新人のうちは、“覚える”より“やってみる”ほうが理解が早いからね。」
ユウタ
「僕も入社したての頃、先輩に“やってみようか”って言われて焦ったけど……今思うとあれが一番身になりました。」
先輩
「でしょ?(笑) 教える側も、それを意識するだけで、相手の吸収率が全然違うんだ。」
③ メモ化習慣:口頭説明は必ず簡易マニュアル化
ユウタ
「あと、毎回同じ質問をされちゃうことも多くて……。」
先輩
「それはメモ化習慣で解決だね。説明したら、その内容を簡単な“メモマニュアル”に残す。箇条書きでもいいし、チームチャットに投稿してもいい。」
ユウタ
「“手順メモ”とか“よくある質問まとめ”みたいな感じですね。」
先輩
「そうそう。後輩が困ったときに“まずこれ見てみて”って言えるし、自分も“どこまで説明したっけ?”って迷わなくなる。さらに、そのメモが次のOJTの教材にもなる。一石三鳥だよ。」
ユウタ
「たしかに……自分の“教えログ”にもなりますね。なんか、育成がチーム資産っぽく感じます!」
先輩
「いいね、その感覚。教えるって、チームのノウハウを積み上げることでもあるんだ。」
先輩
「つまり、“デモ+実践+フィードバック”で体験を通して学ばせ、“理解度チェック”で確認し、“メモ化”で定着させる。この3つを意識すれば、どんな後輩でも成長しやすい環境を作れるよ。」
ユウタ
「ありがとうございます、先輩! “説明して終わり”じゃなくて、“理解して自走できる”まで支援するのが本当の指導なんですね。ちょっと自信ついてきました!」
先輩
「うん、その調子。その前向きさが、もう最高のOJTスキルだよ。」
📌まとめ(読者へのヒント)
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・デモ+実践+フィードバック:見せて、やらせて、振り返る。三段構成で伝える
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・理解度チェック:質問やミニ課題で「理解したか」を確かめる
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・メモ化習慣:口頭説明は簡易マニュアルにして再利用する
💡応用ヒント
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・フィードバックは「良い点→改善点→次への期待」の順で伝えると◎
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・メモはチームチャットやWikiに共有し、ナレッジを“見える化”
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・教えた内容は「OJT日誌」として自分の成長記録にも残す
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・後輩に“説明役”をやってもらうと理解度がさらに定着
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・次回教える内容を事前に伝えておくと、相手も安心して準備できる