入社してからの3年間は、社会人としての基盤を築く重要な時期です。この期間にどのような視点を持ち、どのように行動するかによって、その後のキャリアの方向性が大きく変わってきます。
本コラムでは、「入社3年目までに身につけたい3つの視点」を紹介します。実際の先輩社員のエピソードを交えながら、具体的にどう行動すればよいかをお伝えします。
1. 受け身で仕事をするか、主体的に動くかで大きな差がつく
仕事をする上で、指示を待つだけの「受け身」の姿勢と、自ら考え行動する「主体的」な姿勢では、成長のスピードが大きく異なります。最初は任されたタスクをこなすだけでも精一杯かもしれませんが、少しずつ視野を広げ、業務の目的を意識することで、チャンスをつかむことができます。
先輩社員のエピソード:アプリエンジニア Aさん(入社3年目)
入社1年目の私は、とにかく「言われたことを正確にこなす」ことを意識していました。現場ではテストやドキュメント作成が中心で、特に問題なく業務をこなしていました。しかし、ある日ふと気づいたんです。
「このまま3年経ったら、自分は何ができるようになっているんだろう?」
2年目に入ると、同期の中でも「設計に関わる人」と「ずっと補助的な作業をしている人」に分かれていることに気づきました。違いは何かを考えた結果、**「仕事を受け身でこなすか、主体的に動くか」**の差だと理解しました。
そこで、私は「なぜこの作業が必要なのか?」を常に考えながら仕事に取り組むことを意識しました。先輩やリーダーの意図を理解し、改善提案をすることで、徐々に設計や要件定義の場に呼ばれるようになりました。
▶ 今すぐできるアクション
- 与えられたタスクの背景を考える(なぜ必要なのか?)
- 「こうした方が良いのでは?」という意見を持つクセをつける
- 質問する際に、自分なりの仮説を持ってから聞く
2. どの環境でも評価される人と、そうでない人の違い
仕事をする環境が変わることは珍しくありません。そのため、一つの現場で評価されても、次の現場ではゼロから信頼を築かなければなりません。どの環境でも「この人がいてくれて助かる」と思われるためには、単に技術があるだけでなく、状況を見て適切に行動できる力が必要です。
先輩社員のエピソード:インフラエンジニア Kさん(入社3年目)
最初の現場では周囲の人も優しく、丁寧に教えてくれたのですが、新しい現場では全く違いました。忙しい人ばかりで、「言われたことをやるだけ」では周囲からの評価も得られず、なかなか業務の幅も広がりませんでした。
そんなとき、チームリーダーが言った言葉が印象に残っています。
「自分から考えて動ける人は、どの環境に行っても評価される」
この言葉を意識し、業務の進め方や効率化の工夫を考えるようになりました。例えば、ドキュメントが散在している問題に気づき、情報を整理して一覧化したところ、「Kさんがいて助かった」と言われるようになりました。
仕事をする環境が変わることが多いからこそ、「求められる人材」になることが大切です。そのためには、「自分がこの環境で貢献できることは何か?」を常に考える習慣をつけることがポイントになります。
▶ 今すぐできるアクション
- 「この環境で自分ができること」を考えてメモする
- 改善点や効率化のアイデアを1つでも提案してみる
- ただ作業をこなすのではなく、「なぜ?」を考える習慣をつける
3. 技術だけじゃなく、コミュニケーションがキャリアのカギ
技術職では、スキルさえ高めれば評価されると思われがちですが、実際にはコミュニケーション力が大きな差を生むことが多いです。クライアントやチームメンバーとのやり取りが欠かせません。報告・連絡・相談の仕方次第で、仕事の進めやすさも、周囲からの信頼度も変わってきます。
先輩社員のエピソード:システム運用エンジニア Mさん(入社4年目)
私はもともと「技術さえ磨けば評価される」と思っていました。資格を取り、実務でもスキルアップを意識していましたが、あるとき壁にぶつかりました。
運用の現場でトラブルが発生したとき、私は技術的な解決策を持っていました。しかし、上司やクライアントへの報告の仕方が分からず、対応が遅れてしまったのです。その結果、チームリーダーがフォローに入り、「技術だけでなく、報告・相談ができることが重要だ」と強く実感しました。
それからは、報告・連絡・相談を意識して改善。結論を先に伝える、ポイントをまとめるなど工夫した結果、信頼されるようになり、3年目にはチームのサブリーダーを任されるようになりました。
▶ 今すぐできるアクション
- 報告は「結論→理由→詳細」の順番で伝える
- 週に1回、業務の振り返りを行い、改善点を見つける
- 自分から報告・相談する習慣をつける(待ちの姿勢にならない)